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太極拳養生は
健康維持と健康回復を目指す健康養生法です。
しかし、太極拳養生を利用するみなさんに
同じ基準を要求させ、同じ内容を行わせ、
同じ目標に到達させることは、
やはり無理だと思います。
なぜなら個人差があるからです。
主に年齢、体力、そして好みなども違いますし、
健康に対する要望も人それぞれだからです。

実は、太極拳養生には中国の伝統的な養生思想に従って、
個人差を尊重し、個人差に合わせる内容があります。
それは、格闘護身や競技表演などを目的に
した太極拳の鍛錬とは違い、
武術効用、難度の高さ、見た目の良さなどへ
向けて強調するようなものではなく
「肢体の運動機能」
「精神心理の状態」
「心身全体の協調力」

という三つの健康養生の鍛錬内容を重視しています。

「肢体の運動機能」という鍛錬内容は
人間は動物の一種であるという自然属性であり
すべての生理機能は動けることを中心に展開して行きます。
太極拳養生は
「人間は動物である」という自然属性を違背することなく
「身体を動かすこと」を基本標識として、
太極拳の動作及び動作の組み合わせ(套路 とうろ)に従って
ゆっくり丁寧に肢体を動かし行います。
このように行うと、
筋肉関節などの運動器系の機能を促進することはもちろん、
脳や神経の機能、心臓血管などの循環器系の機能も
連帯して高めあって、
さらに新陳代謝機能や免疫力などの状態の促進も
期待できます。

「精神心理の状態」という鍛錬内容は
中国の伝統的な健康の真髄に基づいた内容です。
これは中国伝統医学の経典医書『黄帝内経』に
掲載されています。
「恬淡虚無(精神心理の状態は淡泊すれば)
 真気従之(生命活動は本来の通りに従って往く)
 ・・・」
こころ(精神心理)の状態は混乱したり興奮しすぎたりすると
軽い症状で言えば、不眠や頭痛などがあります。
酷い症状だったら、うつ症やストレス等々があります。
いずれにしても正常な各生理機能に悪影響を与え、
生活や仕事が出来なくなります。
太極拳養生は
太極拳の動作套路を行いながら、こころを落ち着かせて、
淡泊な精神心理の状態に導きます。

「心身全体の協調力」という鍛錬内容は
生命のバランスを良くすることです。
いろいろな生理機能もそれぞれ独自で働けるわけではないでしょう。
脳の指揮や運動神経の繋がりがなければ筋肉だけでは動かせません。
消化器系や循環器系の働きがなければエネルギーの提供ができなくなり
肢体の運動もできません。
このように体内の各システムがお互いに協力し合っていることで、
さまざまな生理活動ができるわけです。
そしてまた精神心理の状態と生理機能との間でも協調できていなければ
各種の生命活動はもちろんのこと命の維持もうまくできません。
太極拳養生は
「こころ」「肢体」「気息」をともに整え、
さらに三者間の協調力も高めるように鍛えます。


※太極拳養生塾は
「肢体運動機能」「精神心理状態」「心身全体の協力力」
この三つの鍛錬内容を中心として
『套路専科』『運動専科』『導引専科』を設けて
講習と指導を行っています。



太極拳を習い続けている人達にその理由を聞いてみると
健康のためと答える人がやはり多いのではないでしょうか。
ところが、「健康」の定義を聞かせてもらってみると、
そのイメージは見事なまでにバラバラです。
内容のズレも多少ありますし、強調面の違いもあります。
では、太極拳の鍛錬が求める健康イメージとは、
いったいどんなものなのでしょうか?

個人的な観点ではありますが
有名な専門著作『十三勢行功歌訣』に記述された通り
「延年益寿不老春」ということなのではないかと思っています。
この歌訣は、三つの健康ポイントを述べています。
即ち「延年益寿」「不老」「春」です。

「延年益寿」とは、寿命を長く延ばすことです。
中国の伝統的な習慣には「長命百歳」という祝賀の言葉があり、
百歳になることが長生きかどうかの標準という意味です。
何故なら、昔の平均寿命は五、六十歳ぐらいだったわけです。
ですから孔子も「人生七十古来稀」と感嘆したのです。
しかし、いまはもう百歳を越える方も珍しくはないでしょう。
できることならもっと長生きしたいと皆が思っていることでしょう。

「不老」とは、身体機能が老けない様子のことです。
しかしこれは現代人がいつまでも若々しくありたい、
若さを保ちたいと思う気持ちとは違うように思います。
カラダの外見ではなく、身体の機能を指しているのです。
たとえば太極拳を行うことによって
筋肉や関節、運動神経や脳が連携してはたらくことで
直接的に機能を促進できます。
また、循環器系や内分泌器系、自律神経、
消化器系などにも関与するので、
間接的にそれらの機能の調整も期待できると思います。

「春」とは、万物が春の時期にいるように
生命力が旺盛であるという意味です。
要は、生命の状態もまた健康の標識であるということです。
何もやる気がしない、くたびれたように見えるカラダは
病院の検査結果が正常範囲にあったとしても
健康とは言えませんということです。

以上の内容をとりまとめますと、
太極拳養生が強調する健康イメージは、
三つの要素からなります。
それらは「時間」「機能」「状態」です。
別の言い方をすれば、
太極拳養生は、
「寿命を延ばす」
「身体機能を促進する」
「生命状態を良くする」
これら三つの要素を踏まえて心身を鍛えて、
心身の機能と状態の整えを行います。

AIの研究と応用が進歩んだことで
現代人の生括と仕事は
益々便利で快適になると確信します。
そしてさらには
人としてのいろいろな苦労からも
解放されることでしょう。

しかし
伝統的な陰陽観念からみれば、
肉体的な苦労から解放されればされるほど
肉体を使う機会や必要性が
なくなっているのではないでしょうか。

健康長寿を提唱する現代において、
肉体的な動きが減る一方に
あることは誰もが認識しており
運動不足の改善への取り組みが重視されています。
なかでも散歩運動は広く一般に普及しています。
しかしその一方で
精神心理面への調整に対する取り組み方は
まだまだ不足していると感じます。
何故ならば
何かにつけストレスが原因と指摘しつつも
ストレスに対する改善策は…。

太極拳養生法は
肉体の運動と同時に精神面も整えられるものであり、
合理的効率的であることを好む現代人向けともいえる
伝統的な健康養生方法です。
言ってみれば、
日新月異的に変化する現代及び将来の社会環境下で
さまざまな影響(ストレス)を受けている
体内の心身環境を
「スロー(ゆっくり)」
「カームダウン(落ち着いて)」
「リラックス」

へと整える方法です。

現代が求めてくる仕事や生活スタイル
などのリズムになかなか合わせられずにいる皆様には
太極拳養生法をお勧めします。