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太極拳養生の鍛錬形式――「動き」

太極拳養生の外形特徴と言えば、
その「動き」でしょう。
「スロー」「オダヤカ」
そして「ムズカシイ」... 等々
皆さんの第一印象もそうだったのではありませんか?

確かに肢体を動かすことは
太極拳養生における鍛錬の基本ベースとなるものです。
これには奥深い理由があるわけではなく、
自然に従っているだけなのです。
どういう意味かといえば、人間は動物ですから、
はじめから身体構造や生理活動のすべてが
動かせるように作り上げられていたというわけです。

ただ、多くの運動方法とは違って、
太極拳養生で肢体を動かす方法には独特な特徴があり、
健康長寿を実現できるようにするための
独自な考えを持っています。

その一、護身術の意味を持つ動作で身体を動かします。
太極拳の本源はやはり護身術、武術です。
約200年前その凄い格闘技を持つことで
北京から中国の全国へと、その名が広まりました。
皆さんが見たり学んだりした太極拳は
一つ一つの護身術の動作で組み合わせて
つくられた太極拳の套路(とうろ)です。

※太極拳套路とは、一定の順序とルールに基づいて
 太極拳の動作を前後繋げた組合せです。

太極拳の套路は、組み合わされた動作の数により
短套路(動作が少ない)、長套路(動作が多い)などに
分類されています。
伝統の太極拳套路、たとえば陳・楊・武・呉・孫各式では
七十を超えて百ぐらいまでの動作で構成されています。
そして現代の普及目的の太極拳套路は
十から二十ぐらいの動作で作られています。

このように太極拳の動作または套路を覚えることは
脳の活性化を促進する効用がある
との見方もできるのではないでしょうか。
初心者はもちろんのこと
例えば脳機能の低下がみられる方であっても
まずは一つの動作から始めることで
カラダを動かすことができます。
そうして少しずつ動作の数が多い套路を覚えていき、
繰り返し再現して記憶力を高めていくことで
脳機能を活性化し促進させることでしょう。

その二、全身を意識して
「ゆっくり」「ていねい」に身体を動かします。
太極拳養生には、単に肢体を動かすというのではなく
筋肉や関節の動きの状態を
柔らかにするという明解な運動目的があります。
いってみれば太極拳養生は
肢体運動の質を追求するともいえます。

しかしそれは何回、何十回、何百回と手足を動かした結果
「筋肉が付いてきた」、「筋力がアップした」、
「関節の動きがよくなった」などなど
そういう類いの運動結果を追求することではないのです。
太極拳養生は
一つ一つの手の動き或いは足の動きを進める時に、
「ゆっくり」「ていねい」に行うこと
つまり、腕や足が持ち上がったり、下がったり、
開いたり、回したりすることを
「ゆっくり」「ていねい」に行うように
意識をして動かす方法です。

その三、「導引(どういん)」概念で身体を動かします。
太極拳の肢体運動に対しての現代的な理解は、
有酸素運動であり、筋肉づくりや筋力強化、関節機能の改善、
運動神経やバランス神経の促進などが
期待できる運動法というものです。
それに対して伝統の考え方では次のように考えます。
生きていて健康な動物のカラダというものは
柔らかい状態ですが、
肢体機能が低下した時、あるいは生命が亡くなった時には
身体は硬直した状態になってしまいます。
そこで肢体を柔らかな状態に導くことが大事であると考えて、
簡単に曲げたり伸ばしたりするような身体運動にはせず、
わざと複雑な動きになるようにして全身を使って動くことで
柔らかい身体に導いて行くというのが導引法の考え方なのです。

ですから太極拳養生は
ゆっくりていねいに身体を動かしているのです。



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